児童の変化に感動


松下浩之講師

 本学短期大学部保育科の履修科目に「障害児保育※」があるが、誰もが平等に教育を受ける権利がある中で、障害のある子どもの保育や教育には適切な指導が求められる。障害のある子どもの教育をテーマとしているのが、松下浩之講師の研究室である。
 「入学時に学生に尋ねてみると、障害児保育への関心は高いのですが、学生は障害のある子どもたちに平等に接することが障害児保育と誤解しているようです。障害児保育は障害のある人が将来自立するために、どんな教育的な支援が必要かを考え、実践していくことです」と松下先生は説明する。
 大学2年次に心身障害学に興味を持ち、3年次の教育実習で初めて障害のある子どもに授業を通じて接した松下先生。4年次の卒業研究で障害のある子どもの個別指導を1年間行い、子どもが変化する姿に感動した。
 「自閉症のお子さんでしたが、それまでできなかったことが1年間でできるようになり、お子さんが楽しそうに活動する姿が見られ、親御さんからも感謝されました。理論を実践に移す過程で、子どもの変化を目の当たりにして、もっと突き詰めたいと考えました」。先生の進路を変えた子どもから贈られた絵は今も研究室に飾られている。
 大学院に進み、一時は特別支援学校の教員を目指した。しかし、「大学の教員になれば、指導した学生や文献を通じて、直接、接することのできない多くの人々に貢献できる」と指導教授に勧められ、研究の道を選んだ。

※来年度履修生からは「特別支援保育」に名称変更される

 


知的障害のある自閉症の子どもを指導するにはシンプルに理解できる教材が必要。
これらの教材はほとんど手作りによる

 

特別支援教育の根幹を

 研究の中心は知的障害のある自閉症。「知的障害のある人の中には、自分のやりたいことを表せず、やりたいことが何かも分かっていないことがあります。気に入らない状況を何とかするための行動が、社会から阻害される要因になることがあります」。
 知見を積み重ね後世に残す。「好きなものをどう活かすか」をテーマに現場で生きる指導方法の基礎の確立を目指す松下先生。
 「現在はいろいろな事例を集めているところですが、様々な価値観が混在しやすいテーマなので、分析の視点や尺度が整っておらず、データの整理から始めなければなりません。また、仮に統計的なデータがまとまっても、子どもたちの障害は一人ひとり異なります。でも、いつかは日本の教育現場に生かせる特別支援教育の根幹を作りたいですね」

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