春3月は「旅立ち」の季節ー。
今年も多くの学生が鶴見大学を巣立ち、同窓生の仲間入りをします。
それぞれにキャンパスライフを謳歌した卒業生たちは、
社会人として、また本学の同窓会員として、
どんな夢を描きながら、これからの人生を歩むのか。
同窓会から奨学金の支援を受けた経験を持つ3人の卒業生と
文学部・短期大学部同窓会、歯学部同窓会の両会長に、
大学生活の思い出や将来の夢、
同窓会の仕事と役割などについて 語っていただきました。

─卒業おめでとうございます。鶴見大学での学生生活はいかがでしたか。

森田 短大の保育科は、修学期間が2年と短く、あっという間に終わってしまった感じです。ただ1年次から授業がびっしり。学ぶことが多く、勉学に追われる毎日で、正直大変でした。
 でも、クラスの友達がみな仲良しで、体育や造型表現の授業もすごく面白かった。障害児施設などでの保育実習は、勝手が分からず、苦労も数多くありましたが、それも今はいい思い出の一つ。とても充実した2年間でした。
石塚 私は高校を卒業後、1年間アルバイトをして学資を貯め、その上で鶴見大学に入学しました。働いて入った大学ですから、遊んで過ごしてはもったいない。そこで、教員免許や博物館学芸員など、文化財学科で取得できる資格は全部取ろうと、一生懸命、学業に励みました。
 遺跡の発掘や文化財の修復など、実習科目もいろいろあって、楽しみながら学ぶことができた。アルバイトも頑張ったし、中身の濃い学生生活だったと思っています。
白井 私は2年前に歯学部を卒業しました。学部での6年間は授業のほかに、課外活動として剣道部に入っていたので、毎日が大忙し。国家試験の現役合格をめざして、勉学にも大いに励みました。
 授業で一番印象に残っているのは、5年次からの臨床実習です。附属病院で、たくさんの患者さんの診療ができ、とても勉強になりました。

─大学生活でやり残したものはありませんか。

森田 一つあります。大学では部活をやり、マネジャーの仕事を経験してみたかったんです。でも、授業で手一杯で、部活が全くできなかった。その点がちょっと心残りです。
白井 私はアルバイトです。学部時代に、歯科関係以外のバイトをいろいろ体験して、視野を広げたいな、と思っていたのに、授業と部活で忙しく、結局、何一つできませんでした。本屋さんのバイトなんて、やってみたかったんですけどね。残念です(笑)。

文・短と歯学部を合わせた同窓生は約5万人

─卒業生の皆さんは今後、同窓会員の仲間入りをします。そこで、本学の同窓会の紹介をしていただけますか。

浅田 鶴見大学には現在、文学部・短期大学部同窓会と歯学部同窓会の二つがあります。 文・短同窓会は、文学部の第1期生の卒業と同時に発足しました。47年の長い歴史を誇り、同窓生の総数も約4万4千人にのぼります。
村田 歯学部同窓会は、歯学部初の卒業生を送り出した昭和51年に発足し、現在の会員数は約5千人です。
 活動はしていませんが、実は、形の上では両同窓会の上に“オール鶴見大学同窓会”も存在します。

─両同窓会は、それぞれどのような活動をされているのですか。

浅田 文・短同窓会では「会員の親睦」「母校の発展」「社会への貢献」を3本柱に、様々な活動をしています。
 まず総会・懇親会を毎年開催し、会報「TSURUMI」を年1回発行しています。このほか、転居や結婚など同窓生の動向を追跡調査で調べ、正確な同窓生名簿を作る“名簿管理”も、大切な仕事の一つです。追跡率も大変に高く、同窓生の60%の住所をきちんと把握しています。
 それと同窓生と母校をつなぐ独自の事業として、最も力を入れているのが、同窓生を主な対象にした「同窓会生涯セミナー」の開催です。
 うちの同窓会は、文・短合わせて6学科がありますから、各学科に応じて、日本文学や英米文学、歴史探訪、漆の文化財、陶芸、オペラ鑑賞、保育科研修、保健科・歯科衛生科研修といった一般・専門講座を、年間で15講座ほど開催。同窓生だけでなく、広く一般にも門戸を開き、社会貢献にも寄与しています。
村田 文・短さんの「同窓会生涯セミナー」は、大変に質が高く、同窓生を母校に呼び戻す上からも、素晴らしい企画です。うちの方でも、陰ながら参考にさせてもらってるんですよ(笑)。

歯学部同窓生向けに「卒後研修」を開催

─歯学部同窓会の活動は、どうなっていますか。

村田 活動目的は、文・短さんとほぼ同じです。ただ、うちの場合は、会員がオール歯科医という特殊性がある。そのため、研鑽事業に特に力を入れています。
 具体的には、大学を卒業後も、同窓生が常に歯科医療の新しい知識や技術に触れられるよう、同窓会事業の一つとして「卒後研修制度」を設け、年に数回、同窓生向けの研修会を開催しています。
 また、会員同士の相互扶助の観点から、「緊急派遣医」事業も実施しています。これは開業医などの同窓生が、病気やケガなど突発的なトラブルで診療ができなくなった際に、母校の附属病院から応援の歯科医を派遣してもらう制度で、かかりつけ医が急にいなくなって困っている患者さんをサポートする意味でも、大変に意義のある事業です。
 それともう一つ、同窓会のオリジナル事業として、優れた英文論文を表彰する「論文賞」を設け、母校の学術・研究活動を支援しています。

独自の奨学金で学生生活をサポート

─同窓会では、在校生の学生生活をサポートするため、独自の奨学金制度も設けていますね。

浅田 文・短同窓会では、学業・人物ともに優秀な学生と課外活動で顕著な活躍をした学生を対象に、春(学業)と秋(課外活動)の年2回、奨学金を支給しています。支給人数は原則として春・秋とも各科(文学部4学科、短大部2学科)から1人ずつで、支給額は一人当たり20万円です。
村田 歯学部の場合は、同窓会と父母の会である鶴真会が分担し合う形で、奨学金を出しています。同窓会の奨学金は、課外活動で頑張った学生が対象で、鶴真会の方は、学業成績の優秀者です。金額は文・短さんと同じで、一人当たり20万円です。

─ここに同席している卒業生の皆さんは、全員、同窓会から奨学金の支援を受けているんですよね。奨学金はいつ貰いましたか。

白井 私は歯学部の5年生の時。全日本歯科学生総合体育大会の剣道部門の個人戦で、3位に入り、その活躍が認められて、同窓会から奨学金をいただきました。
 その時の剣道部は部員が減り、活動も停滞気味だったので、私自身はもちろんですが、部員全員にとって、その事が大きな励みになりました。
森田 私は2年生の春に、学業で奨学金をいただきました。とても嬉しくて、20万円は教科書代や施設実習の際の交通費などに充てました。また毎日お弁当を作ってくれる母に感謝して、奨学金の一部でプレゼントを買いました。
石塚 私は4年生の春。学業でいただきました。私にとっては大変に貴重なお金で、奨学金の大半は海外実習の参加費に充てました。教育実習や就職活動でアルバイトができず、金銭的にきつい時だったので、本当に助かりました。浅田 皆さん、奨学金を有効に使ってくださったんですね。差し上げた方としても、大変嬉しく思います。

─ところで、卒業生の皆さんは進路は決まったのですか。

森田 私は4月から地元・鎌倉の幼稚園で、先生として働きます。社会人1年生ですが、大学で学んだ知識や経験を生かし、フレッシュな気持ちで、子供たちに接したいと思います。また母も鶴見大を出て、保育士をしているので、私も母のようにずっと保育の仕事を続けたい。それが夢です。
石塚 私は出身地の茨城県警に就職が決まり、警察官になります。大学で専攻した文化財とは別の世界ですが、中学・高校時代に習った柔道を生かせる職種なので、いい仕事に就けたなと思っています。
白井 私は大学院の1年生なので、まだまだ勉学の身です。一生懸命勉強して、立派な英語の論文を書き、同窓会の「論文賞」を狙ってみたい。密かに、そんな野望も持っています(笑)。将来は研究医の道に進みたいですね。
村田 「論文賞」への挑戦、大歓迎です。大いに勉強して、ぜひ賞を取ってください。

本学の人間教育を胸に、社会へ大きく羽ばたけ

─ここで新たに同窓会員となる卒業生の皆さんに、同窓会の方からエールを贈っていただけますか。

浅田 社会へ出たら、学生時代のペーパーテストの成績は通用しません。評価の基準は、仕事ができるか、できないかの“実力”と、その人の人間性です。鶴見大学で学んだ人間教育をしっかりと心に留め、リーダーシップを存分に発揮して、ぜひ社会に役立つ人になっていただきたい。
 私事ですが、私が文学部の学生だった頃は「鶴見女子大学」の時代で、「女子は良妻賢母たるべし」の教育が幅をきかせていました。会社に入っても、女子社員は“寿退社”が一番の美徳とされ、私もその教えに従い、せっかく外国企業に入社したのに、結局、寿退社の道を選びました。いま思えば、それがとても残念でなりません。後輩の皆さんが、私の轍を踏まず、社会の第一線でバリバリ活躍されることを期待しています。
村田 私は毎年、歯学部の6年生に「歯科の世界へ旅立つに当たって」という特別講義をさせてもらっているのですが、その中で特に強調している点が二つあります。
 一つは歯科医の仕事にプライドを持つこと。もう一つは、正しい倫理観と思いやりの心を磨き、信頼される歯科医をめざせ、ということです。歯学部の卒業生にはこの点を肝に銘じ、社会に大きく羽ばたいて欲しいと願っています。

─では、卒業生の皆さんから、後輩の在校生へメッセージをお願いします。

森田 就活は早めに。保育科の就職率は100%だからと安心せず、自分の望む所に就職したいなら、早め、早めの行動が絶対に必要です。
石塚 この4年間で、経済的理由から中途退学する学生を何人も見てきました。でも困難に負けず、奨学金を借りるなど自分なりに工夫をして、ぜひ大学生活を最後まで全うして欲しいですね。
白井 歯学部の後輩には、まず「国試の合格に全力を」と言いたい。その上で、頭の中にめざすべき歯科医像を描き、その実現へ向けて、頑張って欲しいと思います。

文・短と歯学部同窓会の連携強化を

─最後に、これからの抱負など、同窓会の方から一言お願いします。

村田 その前に、学生の支援活動で、大事なことを一つ忘れていました。歯学部同窓会では鶴真会や教員、同窓生、学生の有志と一緒に、毎年、国試の合格へ向けたサポート隊を結成しています。サポート隊は国試の当日に、会場で“合格弁当”を配り、鶴大の受験生を激励するのですが、これが毎回、好評です。
 弁当の話はこの程度にして、さて今後の活動についてです。歯学部同窓会では、これからは文・短同窓会との連携を強め、オール鶴見の観点からの同窓会活動にも力を入れたい、と考えています。
浅田 同感ですね。今後はお互いにもっと連携・協調し合い、同窓会活動をさらに発展させましょう。
 最後に、もう一言いわせてください。来年度は大学が創立50周年、短期大学部が60周年を迎え、4月から周年事業が始まります。その一環で、6月22日には、大学と両同窓会の共催で、初の「ホームカミングデー」が催されます。同窓生の皆さんは、ぜひ奮ってご参加ください。お待ちしています。

─ありがとうございました。

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