大学生一人一人が社会のリーダーになることが期待されています。貿易立国日本の我々にとって、グローバリゼーションを避けて通ることはできません。それどころか積極的に関わって行かねばならない社会の趨勢です。これを率先することもリーダーの役割です。地球的規模で考えますと、世界中のどこにいても、その人が今居る場所はローカルです。
“Think Globally, Act Locally”が発するメッセージは、「常に世界的な視野で物事を考えながら、自分の職務を遂行しよう」、「自分の職務に集中しながらも、常に世界とのつながりを意識していよう」ということです。学生諸君は、国際交流に少しでも関わることで、このメッセージを実践する切っ掛けが得られます。
ここに、本学における本年度の活動成果をご紹介申し上げます。
3月に香港大学、メルボルン大学を訪問した学生の活動報告会を行いました。
7月3日〜17日、英国・ロンドン大学歯学部に9名の5年生を現地の臨床実習参加目的で派遣しました。
7月17日〜27日、ロンドン大学歯学部より5名の学生を受け入れ、顎顔面口腔外科、総合歯科鵺での研修、(株)GCデンタル・インフォメーション・センターの訪問研修を行いました。總持寺での坐禅体験は、彼らに好評でした。
7月30日〜8月3日、韓国・檀国大学校歯学部より8名の学生を受け入れ、有床義歯補綴学講座で研修、(株)GCデンタル・インフォメーション・センターの訪問研修を行いました。そして總持寺での坐禅体験は彼らにも好評でした。本学学生と相互に行なったプレゼンテーションの会を通して、交流を深めました。引率のKi Seok Hong教授は8月10日まで滞在、歯周病学講座で研修を行いました。
5月15日〜10月15日、北京首都医学院のJianyu Zeng教授が本学に滞在、有床義歯補綴学講座で研修を行いました。
10月は、7月にロンドン大学を訪問した学生による活動報告会がありました。
ロンドン大学での臨床実習
6月に、カナダ、アメリカ、イギリスおよび日本国内からの招待者を交え、世界で人気の日本のアニメやマンガをテーマに国際シンポジウム「Mangaとグローバル文化」を開催しました。これには国際交流基金の助成を受けたこと、カナダ・リジャイナ大学のロー先生による文学部での「比較文化研究」の講義があったこと等の成果が伴いました。
7月には、台湾・世新大学から大学院生5名の研修ツアーを受け入れました。3月には逆に、本学文学部ドキュメンテーション学科の研修プログラムを世新大学で実施予定です。また、8月下旬からの2週間、オーストラリア・ニューイングランド大学で文学部の海外文化研修を行いました。
10月は、ニューイングランド大学教育学部のマーガレット・ブルックス先生を招いての講演会「子どもの造形教育と各国の文化」を開催しました。
12月には、大学院文化財学専攻の大多和弥生さんが笹川財団の助成を受け、スウェーデンの研究者を本学に招いて交流研究を行いました。
また文学部教員が、本学からの留学生の指導と国際交流協議を兼ねてリジャイナ大、ニューイングランド大、世新大を恒例訪問しました。同月、リジャイナ大学の ESLと国際交流課の職員が本学を訪問しました。
韓国から春季と秋季に本学に留学する学生は、今年も留学生歓迎会や授業等を通して本学学生と親交を深めています。
ニューイングランド大学での海外文化研修
JICA(国際協力機構)の要請を受け、短期大学部保育科では、2004(平成16)年度からアラブ諸国の幼児教育関係者を対象に「乳・幼児を対象とした就学前教育の拡充」の研修を実施しています。今年度も11月26日から約2週間、エジプト、ヨルダン、モロッコ、チュニジアの教育関係者、保育者計8人が参加しました。
研修では本学保育科の授業やワークショップの参加、附属三松幼稚園、總持寺保育園をはじめ、園の見学などを行いました。
エジプト社会問題局次長カリマー氏は「日本では就学前教育の重要性が理解され、チームワークで子どもたちの将来を見ている」。チュニジア女性家族総務省副局長モハマッド氏は「いろいろなケースの就学前教育を学べてよかった」。モロッコ教育省就学前教育教育監督ラプセン氏は「自国の幼児教育の指針を立てるためにも、幼稚園のカリキュラムをもう少し学びたかった」。ヨルダンの幼稚園教諭アスマ氏は「先生方がどのように子どもたちと接しているか理解できた」と、それぞれの立場によって感想は違いますが、インターネットやJICAの現地のスタッフから想像していたものと実際の日本の就学前教育や日本そのものの姿を改めて実感し、就学前教育に環境や自然を取り入れていることにも驚きを見せていました。
出会いとカリキュラムに感謝した一行は、研修に手応えを感じて帰国しました。
附属三松幼稚園の園児たちと訪問団