学生生活を支える父母会と大学とのパートナーシップ

これまで半世紀にわたる本学の教育の歴史には、
教職員や学生だけではなく、いろいろな角度から支援していただく
父母会の存在も忘れることはできません。
現在も学生、教職員、保護者が一体となって、
さまざまな活動が行われています。
本紙ではお忙しい中、父母会役員の皆さんにお集まりいただき、
前田伸子副学長をコーディネーターに保護者の目から見た
鶴見大学や学生について語っていただきました。
そこには保護者だから感じる本学への評価や期待がありました。

大学の知名度を上げた硬式野球部の活躍

前田 私自身も鶴見大学の出身ですので、学生のころから父母会にはいろいろと助けていただきました。学部が違うとお考えも違うと思いますが、今日は日頃、本学に感じておられることを遠慮なくお話しください。
六角 父母会は学生の保健衛生に関する補助や印刷物の発行など、どうすれば鶴見大学の学生の学生生活を充実できるかを目的に活動しています。例えば、昨年なら東日本大震災復旧のボランティア活動を支援しました。
前田 大変助かりました。ありがとうございました。深田さんは本学にどんなことを期待されていますか。
深田 今年はオリンピックイヤーでしたが、在学生や卒業生がオリンピックで活躍した大学には追い風が吹いています。大学の名前が売れれば、他の学生の就職活動にもつながります。息子は硬式野球部にお世話になっています。硬式野球部は神奈川大学リーグ一部に定着するようになりましたが、去年秋に関東選手権に出場した時は、雑誌や一般紙、スポーツ紙に大きく取り上げられました。硬式野球部が強くなれば大学の認知度が上がり、いろいろな面で大学に追い風も吹くと思います。
前田 硬式野球部の活躍で鶴見大学の認知度は確かに上がりました。
深田 獅子ヶ谷グラウンドのサブグラウンドはネットが低く、近隣に住宅もあり、バッティング練習ができません。ネットで囲まれた屋根付きの練習施設を作っていただきたいのです。現状では、雨が降ると室内でできる練習は限られてしまいます。鶴見大学には歯学部野球部、硬式野球部、軟式野球部、そして附属高校の野球部がありますが、みんなが使えますよね。

充実した指導が受けられるきめ細かいカリキュラム

島田 娘は歯科衛生科なので、技術や知識がきちんと学べる環境に期待しています。先生方が一生懸命指導してくださっていますが、国家試験もあり、求人が多いといっても、本人の希望通りになるかもわかりません。先生方の指導が大切だと、常々思っています。
前田 本学はどの学部学科も教員が熱心ですが、特に歯科衛生科は国家試験の時にはマンツーマンで指導していますから、毎日、充実していると思います。実習は楽しそうですか。
島田 緊張しているようです。
前田 本学には附属病院がありますので、臨床実習の環境も整っています。ところで熊谷さんは父母会とは別に鶴真会という歯学部だけの父母会の会長もされていますね。
熊谷 これは昭和61年当時、まだしっかりした歯学部同窓会がないときに鶴見大学の歯学部の父母がいろいろな面から学生を応援するために作られたものです。以前はゆとりがあったので、クラブ活動のためにテレビや移動用の自動車を寄付していましたが、今は主に歯学部の国家試験対策を支援しています。
前田 歯学部の国家試験は難しくなってきていますので、ご支援いただき感謝しております。
熊谷 歯学部は6年制で長く、中には挫折する学生、留年する学生もいるようです。本人の責任と言えば、それまでですが、大学も学生を受け入れたわけですから、国家試験受験までスムーズに進んでほしいというのが保護者の本音です。
前田 本学では1年生から6年生まで留年せずに国家試験までストレートに進む学生が約60%です。これは他大の歯学部と比較しても悪い数字ではありません。さらに一昨年から、補講の充実を図り、どの科目も、その週の5限目に補講をするようになりました。学生も1年生から徐々に危機感を感じるようになりました。この効果で留年がなくなることを期待しています。
六角 鶴見大学は他大に比べても特色が多いと思います。先生方が一生懸命ですし、附属病院があることも大きいです。5年生からの臨床実習でも他の大学にないものが学べます。歯科衛生科の実習の話が出ましたが、毎日新しいことを学ぶわけですから、興味はあっても、実習は大変だと思います。ただ、きちんと学べるので、後になって感謝することも多いでしょう。

何かを見つけて成長する素直な学生たち

前田 卒業生だからではないのですが、歯学部だけでなく、文学部も短期大学部もほんとうにいい大学だと思います。特に野球部は、特待生制度もなく、特別な推薦入試も行っていないのに、学生が一生懸命頑張って、神奈川大学リーグの一部まで来ました。こういう大学は珍しいです。
深田 神奈川大学リーグは強いです。全国選手権に出ても勝ち上がりますから。その中で鶴見大学は甲子園ボーイや名の知れた高校の選手を学費免除や多少成績が足りなくても入学させる特別な制度はありません。だから「高校時代レギュラーではなかったけれど、大学でもう一回野球をやりたい」という学生が多いんです。そして、竹内監督は一部の学生だけではなく部員全員にチャンスを与えるんです。例えば、毎試合25人がベンチに入りますが、翌日にはベンチ入りする選手がガラッと替わることもあるんです。スタンドで応援している部員も「明日は出られるかもしれない」。それがやる気を生み、結果的にチームを強くしているのだと思います。
前田 学部学科を越え、共通して言えるのは、素直な学生が多いですね。だから、上手く何かを見つけてそれにハマると、大きく伸びるのです。そのいい例が硬式野球部です。
 歯学部の学生もかなり体育系のクラブに入っています。毎年全国の歯科大学が集まるオールデンタルという大会がありますが、今年はバスケットボール部が優勝しました。クラブ活動を頑張っている学生は顔が違います。
六角 息子は歯学部ですが、剣道部と、過去にはアメフト部にも在籍していました。剣道部は文学部の学生も入部できますが、医歯薬系の大会は文学部の学生は出られません。今年は大丈夫でしたが、歯学部の学生だけだとなかなか団体戦が組めません。アメフト部は人数が必要ですから、友達に呼ばれたようです。けがや勉強に影響しないか、親は心配ですが、あの年頃なら、スポーツをしながら仲間を増やすのが一番いいですね。
熊谷 私も大学時代にクラブ活動に参加していましたが、今、思い出すと夏の合宿や試合で九州から北海道まで多くの大学に行きました。一緒に試合をした学生が今、社会的に重要な地位に就かれ、名前が出てきます。同じ歯科医として、幅広い人間関係が築けます。

学部を越えて交流する学生たちの活動

前田 学部を越えたクラブ活動もかなりあります。本学では全学的な共通科目の計画に取り組んでいますが、それが実現する前にクラブ活動やボランティア活動などで、学生はすでに学部の垣根を越えていろいろな活動をしています。教職員も見習わなければなりません。島田さんはいかがですか。
島田 1年生の時には自然愛好会に入部していました。歯科衛生士になるには専門学校という選択肢もありますが、娘は学部の垣根を越えていろいろな方と交流したいと考えてこの大学を選びました。
前田 短期大学部は実習などでスケジュールがタイトなので、なかなか時間がとれないようですが、それでもクラブ活動を頑張っている学生もいますね。

社会との関わりを意識する新しいプログラム

前田 ところで学生の要望が多かったコンビニが1号館にできることになりました。環境的には少しずつ改善されていると思います。
六角 コンビニができると、買い物もそうですが、ATMが使えて便利です。そういうところも学生サービスなんですね。
前田 学生に期待することについて、いかがでしょうか。
六角 この間の総会で聞いた話だと文学部は就職難だそうです。ところがよく聞いてみると、卒業するけれど就職する気がない学生が一部にいるようです。卒業後の社会との関わりを意識してほしいです。
前田 クラブ活動に参加している学生は、心配ないと思いますが、テレビゲームやスマートフォンで満足して、広くさまざまな人とつきあおうとする気持ちがない学生が増えているような気がします。そんな風潮の中で、本学でも1年生の時から社会性やコミュニケーション力をつける教育を始めようとしています。
 今年、学内組織の再編で「入試キャリアセンター」が生まれました。社会に出る時にどんな社会人になるか、社会との関わりを学び、意識してもらうことを、入学時から学んでもらうようにしました。この成果に期待しています。文学部の学生は歯科医になるとか、はっきりした目的が見つけにくいですが、どれだけ社会に関われるかを考えることを、大学から積極的に働きかけようとしています。

曹洞宗の教えから生まれる学生たちの気づき

深田 息子は曹洞宗系の高校から鶴見大学に進学したので、一泊参禅会は二度目の経験です。法話の中では人生の意味など、いいお話を聞けるので、自分という存在を考えたり、周りとの関わりを感じたり、いい勉強ができるのではないでしょうか。
 また、硬式野球部の話になりますが、竹内監督は永平寺で修行をされたそうで、ミーティングにはいつも感心させられています。例えば硬式野球部のユニフォームの色の話です。白と紫紺とオレンジにはそれぞれ仏教的な意味合いが込められています。1年生に初めてユニフォームを渡すときに「ユニフォームの色の意味をわかってほしい。頑張って、その道を極めた部員が、代表として試合に出る」と話されたそうです。私はそれを聞いて感動しました。一泊参禅会に限らず、そんな話を聞く機会がもっとあれば、若者たちも気づくことがたくさんあるはずです。
前田 いいお話を伺いました。現在も学部学科を越えた科目として1年生の「宗教学」があります。建学の精神と禅の教えを学ぶ大切な必修科目です。1年生では理解できなくても、歯学部の学生は5年生になって臨床実習に入るときになると逆に学ぶ必要を感じ、中には卒業後に「もっと学べばよかった」と思う学生もいます。履修年次を固定しないとか、毎年履修できるとか、工夫したいと思います。
熊谷 鶴真会の役員会でも参禅会を行うことになりました。
深田 貴重な経験になるでしょうね。

コミュニケーション力を養っていくために

前田 島田さんは、学生に期待することはいかがですか。
島田 知識や技術も大切ですが、コミュニケーション力をもっと身につけてほしいです。
前田 数年前からコミュニケーション力が叫ばれるようになりました。昔はこんな言葉はありませんでしたが、若者のコミュニケーション力が低下しているから出てくるのでしょう。よくヘッドホンで音楽を聞く人がいます。それはそれで楽しいんでしょうが、自分の世界に浸り、外界の音が遮断されてしまうと、教員や友人と会って挨拶されても気づかないことがあります。
 「コミュニケーションの取り方が悪い」とか「あいさつをしないのが悪い」とか学生たちのせいにするのではなく、大学が何かプログラムを提供して、変えていく必要があると考えています。
六角 歯科医や歯科衛生士もそうです。歯科医師会でも教養講座を開いて、電話の応対、お辞儀の仕方、接客の仕方、言葉の使い方、目の配り方などを、会員および従業員にレクチャーしています。大学時代にそういう授業が週1時間でもあれば、少しは違うと思います。
深田 患者の立場からすると、歯科の先生や衛生士さんとのコミュニケーションは、リラックスさせてくれますね。ちょっとした会話のキャッチボールがすごく大切ですよね。
六角 あらかじめ接遇の教育を受けているコーヒーショップの店員さんたちの対応はいいですよね。学生全てにも、そういう教育が必要です。今さら、言うのもおかしいんですが。
前田 いいえ、大切です。私も「あいさつをしない」「遅刻して平気で入ってくる」と学生に腹を立てるときがあるのですが、「ちょっと待てよ。私たちはどうなんだ」。教員自身も振り返る必要があるかもしれません。この辺も「入試キャリアセンター」の対応やカリキュラムを整備していきたいと思います。

どんな人間にも大切な建学の精神

前田 熊谷さんは学生に何を期待されますか。
熊谷 学生ですから、まず、勉学をしっかりやってほしい。長い人生なのでいろいろな経験も必要ですから、できればクラブ活動に入って一生懸命やってほしい。なかなか両立は難しいですが、生涯にわたる友人やクラブ活動を通じて先輩後輩の人間関係ができます。同じ釜の飯を食った仲間。私自身もそういう絆でずっとつながっています。その絆を、ぜひ、作ってほしいです。
 それからせっかく曹洞宗の大学に入学したのだから「感謝の心をもって人となる」、建学の精神「大覚円成 報恩行持」を学んでほしいです。それによって患者さんたちが抱く歯科医の怖いイメージが払拭されると思います。
前田 ご本山が近くにあって、すぐに禅の雰囲気に浸れる大学は歯学部はもちろん、宗教系の大学でも少ないです。
熊谷 本学が宗教系であることとは別の意味で、建学の精神はどんな人にもあてはまることですから。

キャンパスライフには魅力がたくさん

前田 キャンパスナウは学生や保護者の方、教職員だけではなく、受験生やその保護者の方にも読んでいただいていますが、保護者の目から見た鶴見大学はどんな大学でしょうか。
深田 硬式野球部について言えば、一人ひとりが同じスタートラインに立って活動できるクラブです。学生の頑張る気持ちに応えてくれます。
六角 親戚に「鶴見大学で野球をしたい」と受験した学生がいました。自分の夢を持って大学を選ぶ学生はしっかりしていると思いますね。私は大学の利便性に触れたいです。駅から近いこと。地方の大学なら下宿しなければなりません。親にしてみれば4年間ないし6年間の下宿は、経済的に大きな問題です。それから図書館が充実しています。全国の大学で10本の指に入ります。
島田 駅から近いですが、一歩キャンパスに入ると緑も多くて、閑静な雰囲気がすごくいいですね。
六角 「緑が多い」だけではなく、春は桜、秋は紅葉、四季の移り変わりがわかります。
島田 建学の精神もしっかりしていますし、大学に入って何を学びたいとか、それを卒業後に活かしたいとか、目標が立てやすい大学だと思います。
熊谷 学生の面倒見がいい先生、スタッフの方が非常に多いです。もう一つは、今年、歯学部の学納金が大幅に下がりました。これも非常にインパクトがあると思います。
前田 本学では学生が立派な社会人として巣立つように教育活動に邁進してまいりますが、大学だけではできないところもあります。これからも父母会の皆さまのご協力をよろしくお願いします。今日はありがとうございました。

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