大学が今、大きく変わり始めています。以前は“学問の府”として、
学生の教育と先端的な研究が主な使命でしたが、
最近は大学の持つ知的・人的資源を活用して、
地域や社会に貢献する活動が盛んになってきました。
そうした時代の流れの中で、本学の学生たちも
積極的にキャンパスの外に出て、ボランティア活動などを展開しています。
東日本大震災をきっかけに誕生した「学生ボランティアチーム」と
「地域貢献ボランティアサークル」の取り組みを通し、
「鶴大生の地域&社会貢献活動」の一端を紹介しましょう。

東日本大震災を機に発足、
気仙沼で小学生の学習支援

[学生ボランティアチーム]

 2011年3月11日。巨大地震が東日本を襲い、鶴見大学も激震に見舞われました。その時、キャンパスに居合わせた歯学部の学生を中心に、大津波で被害を受けた東北地方を支援する動きが一気に盛り上がり、「鶴見大学東日本大震災救援ボランティア対策委員会」が発足しました。
 その年の夏休みには、多くの学生と教職員が被災地(宮城県気仙沼市)に入り、地元の小・中学生の学習支援を柱とするボランティア活動がスタート。その後、この活動は学生たちが中心の団体「学生ボランティアチーム」に引き継がれました。
 ボランティアチームの主な活動は、毎年、春・夏・冬(現在は春・秋のみ)の長期休みを利用して、気仙沼市の大谷、鹿折両小学校に赴き、“学びーば”の名称で行っている子供たちの学習支援です。
 活動期間は、夏休みがお盆を挟んだ前後2週間、春休みが1週間で、この間に多くのボランティアの学生や教職員が、現地に滞在して“学びーば”に参加。独自に作成した学習プリントで、子供たちの勉強の手助けをしたり、宿題を見てあげたりします。
 また勉強だけでは飽きるため、工作イベントや簡単なレクリエーションなど遊びの時間も設け、子供たちと一緒に楽しんでいます。
 さらに、ボランティア活動に従事する学生自身が「もっと被災地のことを知らねば」と、2年前からは「震災学習プログラム」の活動も始めました。三陸鉄道の“震災列車”に乗って、沿線の津波の跡を訪ね、被災者から話を聞くなどして、地震と被災地への理解に努めています。
 東日本大震災から丸4年。鶴見大学の学生ボランティアチームによる学習支援活動も、今春で10回目を迎えました。今では他大学(横浜創英大学、東京都市大学)からの参加もあり、活動の輪は大きな広がりを見せています。
 東日本大震災の後、夜行バスで気仙沼へ入り、がれき撤去作業を手伝ったという歯学部歯学科6年の山口雄大さんは、被災地の惨状に衝撃を受け、それを機に学生ボランティアチームに加入しました。 「“学びーば”に参加して3年になりますが、津波で肉親を亡くした子もいるのに、被災地の子供たちは、みな元気いっぱい。それがすごく嬉しかったですね。支援に行った僕の方が、逆に励まされた感じです」と山口さん。さらに「大学の授業では得られないことを、たくさん学べたし、貴重な体験もできた。ボランティア活動に参加して、本当に良かったと思う」と感想を語っています。

地元鶴見で、防犯パトも街の安全に貢献

 学生ボランティアチームではもう一つ、地元鶴見区でも、2年前から独自のボランティア活動を始めました。学生たちによる街の防犯パトロールがそれです。
 きっかけは、大学の近くにある女子学生寮の周辺で、登下校時に不審者が出没することでした。そこで、女子寮内に練習場がある弓道部の学生有志が中心になって、自主的に防犯パトロールを開始。その後、警察から「正規のパトロール隊として、活動の継続を」との要請があり、2013年10月末に、学生ボランティアチームの活動の一つとして、「防犯パトロール隊」が発足しました。
 現在、隊員として活動しているのは、歯学部と文学部の計6人の男子学生です。パトロールを行うのは、毎週水曜日の夜。2〜3人が一組になり、午後7時半から約1時間、東台小学校から女子寮にかけての一帯を見回っています。


防犯パトロール隊

 また最近は地元自治会からの誘いを受け、奇数月の毎週金曜の夜に、合同パトロールも始めました。午後7時からの1時間ほどですが、住民の皆さんと一緒に地域を巡回し、大学のある“わが街・鶴見”の防犯に一役買っています。 歯学部歯学科3年の立川晴毅さんは当初、学生ボランティアチームの一員として、震災支援活動に参加していましたが、女子寮近くに住んでいたことから、防犯パトロール隊に応募。「より地域に密着した社会貢献活動も大事ですからね」と、今は地元での防犯ボランティア活動に力を注いでいます。


東台自治会と合同パトロール

より地域に密着した活動を!
自由参加のボランティア活動

[地域貢献ボランティアサークル]


豊岡商店街「打ち水大作戦!!」に浴衣姿で参加

 昨年5月、鶴見大学で新しいボランティア活動が産声を上げました。 大学から課外活動団体としての公認を受けた、その名も「地域貢献ボランティアサークル」。もっと地域に根差した活動をと、文学部英語英米文学科の加川順治教授が設立を呼びかけた、学生主体のボランティア団体です。
 文学部を中心に、その趣旨に共感し、加川先生の熱意にほだされた多くの学生が、サークルへの入部を決めました。
 英語英米文学科3年の中山遥香さんと日本文学科2年の胡井彩花さんも、そんな共感派で、「とくに加川先生の『何事もまず挑戦してみること。そうすれば必ず新しい発見があるから』という話には、すごい説得力があった」そうです。
 こうして活動をスタートさせた地域貢献ボランティアサークルですが、最大の特徴は、部員たちの活動に一切縛りをかけないことです。サークルとしては、大学の内外で催される様々なボランティア活動を紹介するだけで、どの活動に参加するかは、個々の部員の自由選択に任されています。つまり、学生たちは、自分がやってみたいと思うボランティア活動にだけ参加すれば良いわけです。
 従って、他の部活のように、打ち合わせや話し合いのための定例的な会合も一切ありません。「誰からも強制されず、自由にボランティア活動を選べる。それがこのサークルの一番の魅力です。だから、嫌々参加するのと違い、心の底から活動を楽しめます」と、胡井さんは語ります。

様々な地域イベントに積極的に参加

 地域貢献ボランティアサークルは発足以来、区民フェスティバルや異文化交流フェスティバル、夏休み宿題教室、クリスマスサンタクロース大行進など、地域で催される大小様々のイベントに積極的に参加。企画・運営から販売などの仕事まで、ボランティアとして、いろいろな活動に携わってきました。
 昨年8月には、鶴見駅西口の豊岡商店街協同組合が主催する打ち水体験イベント「打ち水大作戦!!」に、男女の部員30数名がボランティアとして参加。猛暑の中、女子学生たちは浴衣姿で打ち水を行い、商店街と地球を冷やす活動に協力しました。


異文化交流フェスティバル

 これまでに参加した中で、強く印象に残っているボランティア活動として、中山さんは、昨年12月に鶴見公会堂で開かれた「チャリンコカフェ」を挙げます。「駅前の放置自転車をテーマに、お茶を飲みながら、地域の方々と解決策を話し合ったのですが、いろいろな視点や考え方があることを知り、とても勉強になりました」
 一方、胡井さんは今、授業に付いていけず、勉強が遅れ気味の中学生を対象にした学習支援活動(通称トワイライト・スタディ)に週1回、ボランティアとして参加しています。「夜間の活動ですが、勉強以外にも中学生と本音の話ができて、本当に楽しい。すごくやり甲斐を感じています」と胡井さん。
 地域貢献ボランティアサークルの活動は、2年目に入り、学生たちの間にしっかりと根づき始めています。


クリスマスサンタクロース大行進

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