Graffiti of Dental Technology

Vol.76 :デジタル計測型咬合器「計測の技工」

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はじめに

 本学には補綴装置を無調整で口腔内に装着するために,「機能的咬合印象法(FBI)」1)と,その精度に見合った「計測の技工」を行うための道具「計測型咬合器」がある.この咬合器は装備された計測器により1/100mmの精度で咬合器上での咬合の高さの誤差0を保証する.今回は,30年以上使用してきた計測型咬合器の老朽化に伴い,デジタルインジケーターを組み込んだ新設計の計測型咬合器を開発した.今回はその特徴と使用方法を紹介する.



新型 デジタル計測型咬合器の概要

  • デジタルインジケーター:100分の1mmの精度で咬合の高さを計測.

  • 指導釘を備えることで両端支持となり,咬合器のたわみに対する効果が期待できる.
  • 非顆路型咬合器:スムースに可動するDLC コーティングシリンダーで上下運動のみ再現.
  • 上弓下弓間距離 62mm .拡張フレームにより全顎模型に対応.
  • マグネットプレートによる模型の着脱が可能.

 

機能的咬合印象法
 
咬合印象を主体とし,被圧変位量を含んだ機能時の印象と咬合採得及びFGPテクニックを用いて,これらを、同時に行う印象採得法.


 個歯トレーと個人トレーおよびFGPテーブルを備えたFBIトレーを製作する.製作に必要な最小限の範囲と最小減の印象材による印象を目的とする.  口腔内でFGPレコードをパターンレジンにて記録し,咬合印象と咬合採得を行う.被圧変位量を含んだ機能時の口腔内情報を得ることができる.

 

作業模型と咬合器装着

1.採得された印象に石膏を注入し,ダウエルピンを植立する. その後,二次石膏を注ぎ,作業模型とする
2.印象を撤去することなく,そのまま作業模型を下弓に装着する.
3.4. 予め上弓に石膏台を付着しておき,対合歯側に石膏を注入しすると同時に咬合器装着を行う.

 作業用模型付着時に,咬合器が浮き上がらないよう,咬合器後方の固定ねじを絞める.

 

機能的対合歯の製作

1.対合歯側の印象材を除去し,FGPレコードを露出させる.
2. 対合歯の咬合面を一層削除する.
3.4.少量の超硬石膏にて咬合面を置換する(オルタードキャストテクニック).

5〜8.トレーの撤去と模型分割,歯型のトリミング

 重要な注意点として,機能的対合歯への置換が完了するまで,トレーを撤去してはならない.これにより口腔内と同等の咬合精度が保証される.

 

計測の技工

レジン築盛と計測値

計測は咬合器を閉じるだけで表示される
(ダイヤルゲージの特性上マイナス表示となるがプラスに読み代える)

コンタクト調整後,形態修正後の計測値

計測値と接触点の変化

一回の調整量0.02〜0.05mm.ポイントの回転数や接触圧の違いによる削除量の変化を実感することができる.

最終調整で計測値が0で研磨完了する

 機能的咬合印象法と計測型咬合器を用いた「計測の技工」の実践により,無調整で口腔内に装着された.


おわりに

 今回はハイブリッドレジンジャケットクラウンの製作を紹介したが,デジタル計測型咬合器の適用範囲はクラウンブリッジはもとより全部床義歯やインプラント補綴装置にまで応用可能である.また,計測することで作業を数値化し,使用するポイントや回転数,接触圧などによる削合量の変化を把握することができるため学習効果も高い.工業界ではデジタルトルクレンチなどが導入され,勘に頼った曖昧な作業からの脱却を計っている.CAD/CAM技術などの発展が目覚ましい歯科技工においても作業を数値で評価することは今後重要と考える.

参考文献 1) 阿部 實,広田正司,小岸和澄,他:機能的咬合印象法,歯界展望62(2):213-225,1983


Presented byT.Matsumoto(歯科技工研修科 松本敏光)


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