Graffiti of Dental Technology

Vol.72 : 無敵のレジン填入法
イージー・インジェクションとコア法によるレジンの填入

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はじめに
 長年、義歯の製作に携わっていると流し込みレジンより加熱重合レジンを用いたいと思うことがある。また、アタッチメント・デンチャーなど、複雑な構成になると技工手順(埋没からレジン填入まで)を悩むことがある。しかし、イージー・インジェクション(レジン加圧填入器)とコア法を併用すると問題は一挙に解決し、どんな蝋義歯も容易に高い精度でレジンに置に置き換えることができる。販売が終了している道具だが、あらためてその良さを紹介したい。



*イージー・インジェクションについて (株)デントピア
 油圧プレスを用いて、シリンダー内の餅状レジンを義歯に填入するレジン加圧填入器である。上下のフラスコを閉じたまま上蓋に設けた穴からスプルーを通じてレジンを填入する。そのため、咬合高径はほとんど変化せず、歯型の破損の恐れもなく、しかも短時間で操作が終了するなど多くの利点を持つ。
 イージー・インジェクションの外観  イージー・インジェクションの説明図

症例1.イージー・インジェクションとシリコーンコアを用いてレジンを填入する

症例の概要:
この金属構造義歯は、3〜|〜3連続切縁レスト、4|45 Cap Claspが設計されている。

目指す技工:
・接着処理を確実に行うために、流蝋時にフレームを取り外せるようにしたい。 ・フレームの浮き上がりを防ぎ、できるだけ咬合高径の変化を抑えたい。

 義歯の一次埋没

流蝋時に模型から金属床を取り外せるように埋没する。舌側部は石膏で覆わず、そのままにする。

 シリコーンによるブロックアウト(シリコーンコア)

複雑なバーの部分とCap Claspの舌側アンダーカット部をパテタイプのシリコーン(ゼタラボ)で覆い、二次埋没に備える。(コアとして取り外しができるブロック状にする)

 スプルーの付与

通法によりスプルーを付与し、石膏で二次埋没を行なう。

 流蝋

シリコーンコアを外すと、模型から金属床フレームを容易に取り外すことができ、分離材の塗布や接着のためのサンドブラスト処理などを確実に行うことができる。

 填入前の組み立て(復位)

接着処理後、金属床フレームとシリコーンコアを模型に戻し、上下のフラスコを閉じる。シリンダーの中で適量のレジンを前重合させ、少し柔らかめの餅状期でピストン部を加圧し、填入する。

 取り出された模型と義歯

加熱重合後、義歯を模型に残したまま取り出す。シリコーンコアを用いたため取り出しが容易である。

 咬合状態の確認

スプリットキャストを利用して咬合器再装着をする。レジン填入操作による咬合の浮き上がりはほとんどない。また、Cap Clasp内面へのレジン迷入もない。

 完成義歯

フレームとレジンの接着状態も良好で、精度の高い義歯を製作することができた。

 

症例2.イージー・インジェクションと石膏コアを用いてレジンを填入する

症例の概要:
このレジン床義歯は、犬歯舌側部と第1小臼歯咬合面は金属で補強され、65|56にはCap Claspが設計されている。

目指す技工:
・Cap Clasp内面へのレジン迷入を防ぎ、現在の咬合高径を保つ。 ・43|34の人工歯は上方に取り外すことができない。コアを用いて頬側方向に外す。

 蝋義歯

Cap Claspの頬側に付与したノブと作業模型に付与した維持部(孔)を常温重合レジンで絡め、維持装置の浮き上がりを防止する。

 一次埋没と石膏コアの付与

蝋義歯を埋没し,ワックスでレジンの遁路を付与する。石膏分離材の塗布後、小臼歯と犬歯の唇・頬側面に石膏を盛り上げ、石膏コアとする。コアはアンダーカットが生じないように周囲と移行的に仕上げる。レジン填入用のスプルーを設け、二次埋没を行う。

流蝋と開輪

流蝋を行うと、図のように人工歯部をコアごと取り外すことができる。
分離材の塗布後、コアを組み立てて復位し、上下のフラスコを閉じる。
フラスコを開輪することがないので、短時間でレジン填入が終了する。
コア法だけでもレジン填入はできるが、イージー・インジェクションを併用する効果は非常に大きい。

 取り出したレジン床義

1本のスプルーで確実にレジンが満たされており、Cap Clasp内にレジンの迷入はない。

 


まとめ
 イージー・インジェクションとコア法を併用すると、流蝋後にフレームの取り外しが可能とななり、接着処理を確実に行うことができる。また、通法では繰り返しの試圧で模型を破損させることもあるが、この方法はフラスコを開輪せずにレジンを填入するため、模型を破損することも咬合高径が高くなることもほとんどない。インプラント・デンチャーやアタッチメント・デンチャーの製作でも悩むことなく技工を進めることができる。再販を熱望する。

*コア法は、40年ほど前に恩師 加賀谷忠樹先生より教えていただいた術式である。
*イージー・インジェクション(株)デントピア(現在販売終了)

参考文献大
池洋治,浮田恵司:イージー・インジェクションによる義歯床用レジンの填入法 〜技工操作上の評価と適合精度〜.歯科技工,11 (4 ):379-394,1983



Presented by M.Ichikawa(歯科技工研修科 市川 正幸)


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