Graffiti of Dental Technology

Vol.71 : 多数歯に渡るBrの効率的な陶材築盛法

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はじめに
  陶材を築盛する術式として、ボディー陶材で最終歯冠形態を付与し、カットバックする方法が一般的と思われる。しかし、多数歯になるほど、目標とした歯冠形態を短時間で付与することは難しく、熟練者にとっても大変な作業になる。そこで今回は、フレームワーク製作時に用いたシリコーンコア(以下コア)を活用し、短時間で効率よく陶材を築盛する方法を紹介する。



症例:  陶材焼付Brの製作

1.ワックスアップ
全体のバランスをとりながらワックスアップを完成する。

 

シリコーンコア採得と前準備

 2.咬合面コアの製作
切歯指導釘を2mm程挙上後、対合模型を固定源とし、切縁(咬頭)をやや覆う咬合面コアを採得する。コアは弾性のあるものが適切で不要な部分をトリミングし、厚みを1〜2mmに整え、たわみ易くする。
 3.唇(頬)側面コアの製作
咬合面コアにワセリンを塗布し、支台歯模型の下部と咬合面コアを少し覆うように採得する。適度なたわみを必要とする為、厚みは同様に1〜2mm程度がよい。
 4.フレームワークと咬合面コアの関係を示す。
咬合面コアは歯冠の切縁(咬頭)を覆い過ぎないことが重要である。(陶材築盛後、コアの取り外しが難しくなるため)
 5.咬合面コアと唇側面コアの位置関係を示す。
唇側面コアの固定源は、支台歯模型下部と咬合面コア である。

 

陶材築盛

 6.咬合面の陶材築盛
対合模型に固定した咬合面コアにポーセレン分離剤を塗布し、スパチュラを用いて陶材を盛り上げる。同時にフレームワークにも陶材を少量築盛し、切歯指導釘の浮き上がりがなくなるまで、模型やコアに振動を与えながら咬合器を閉じる。
 7.唇(頬)側面の陶材築盛
唇(頬)側面は、コアではなくフレームワークに直接、スパチュラや筆で築盛する。陶材はやや多めで歯冠部中央が凸になるように形態を付与する。 陶材の水分量は多めであるが、築盛した陶材が形態を維持できる程度が目安となる。

 

唇(頬)側面コアの圧接と乾燥

 8.唇(頬)側面コアの圧接
唇側面コアを広げ、正中から順に押当てる。唇側面コアの上部と下部の隙間がなくなるまで指でタッピングしながら圧接する。余剰な陶材は、下部鼓形空隙に押し出され排出される

 9.陶材の乾燥 水のみで陶材を練和した場合はおよそ5〜7分の自然乾燥で取り外すことができる。乾燥は舌側面の陶材が露出した部分と、下部鼓形空隙の陶材が石膏に水分を吸われることにより始まる。乾燥を早めるには舌側面からドライヤーを当てるとよい。

 

シリコーンコアの取り外し

 10.唇(頬)側面コアの取り外し
後方から、シリコーンの弾性を利用して“めくる”ように少しずつ外していく。この操作のためにコアは程よい弾性が必要であり、厚みが重要となる。

 11.咬合面コアの取り外し
歯冠切縁(咬頭)部を少しずつ“めくり”、コアが外れることを確認し、ゆっくり咬合器を開く。“めくり”が不十分であるとコアに陶材が残ってしまうため注意を要する。

 12.コアを取り外した直後を示す
おおよその歯冠形態が再現されている。 余剰な陶材や不足箇所を修正する。

 13.陶材築盛完成
ワックスアップの形態を短時間のうちに陶材で再現することができた。

 


おわりに
 今回の術式のポイントは、コアの採得にある。特にコアを2つに分けたことや、コアの厚みをコントロールし、たわみの出るコアを製作することが重要である。今回の内容が皆様の日々の症例のヒントになれば幸いである。

使用した主な材料
  歯科用シリコーン印象材: コルトフラックス (ヨシダ)
  歯科用陶材: スーパーポーセレンAAA (クラレノリタケデンタル)
  陶材分離剤: セパレックス (ATD Japan)

参考文献
青木健治: The Piece of Dental Technology 明日につながるワンポイントテクニック 第7回 最終形態からトップダウンで製作する臼歯咬合面形態, QDT39 (1): 124-128, 2014.



Presented by M.Sumitomo (歯科技工研修科 住友 将一)


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