Graffiti of Dental Technology

Vol.68 :「金属床義歯の外フィニッシュラインの立ち上がりを設定する」

〜人工歯排列のシリコーンコアを応用する方法〜

 

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はじめに
 一般に金属床義歯の外フィニッシュラインは、蝋義歯の形態を基に設定する。けれども、適切な外フィニッシュラインの走行位置と厚みを設定しなければ舌房の狭窄感や,舌感を悪くすることがある。外フィニッシュラインとレジン部をスムースに移行させるためには、蝋義歯の基礎床とワックスの境界に孔を開けて設定する方法もある。今回は、シリコーンコアを用いてカンに頼らずに適切な外フィニッシュラインの立ち上がりを設定する方法を紹介する。 



フレームワークの外フィニッシュラインを観察する

 図1 本法で製作した金属床義歯。フィニッシュライン部の移行がスムースに仕上がっている。

 

本術式を用いた外フィニッシュライン設定法


 図2 前準備として、上図右半分のように蝋義歯の人工歯歯頚部、隣接面のワックスの一部を取り除き露出させ、シリコーンコアを採得する。コアに人工歯をしっかりと把持させるためである。*  図3 シリコーンコアの適合安定を図るために模型辺縁と側面に溝を形成する。溝には、アンダーカットをつけない。
 図4 作業模型に蝋義歯をしっかりと固定し、人工歯部のシリコーンコアを採得する。この時コアは、人工歯の舌側まで覆うように注意する。精度を得るためには、5ミリ以上の厚さが必要である。  図5 通法に従って耐火模型を製作する。この段階で、耐火模型を小さく削らなくて済むように複印象前に作業模型をコンパクトに仕上げておくとよい。
 図6 人工歯の舌側形態が視認できるようにシリコーンコアをカットし、調整する。コアが正確に耐火模型に戻ることを確認する。  図7 通法に従いフレームワークのパターン採得を行った後、耐火模型に人工歯を把持させたシリコーンコアを戻す。
 図8 インスツルメントで人工歯舌側と外フィニッシュラインを結んでみる。インスツルメントの先端部に隙間が見え、外フィニッシュラインが厚いことがわかる。  図9 外フィニッシュラインの厚い所は、人工歯舌側の豊隆に合わせるようにワックスを削り、厚みを調整する。
 図10 再度インスツルメントを用いて外フィニッシュラインの形態を確認する。隙間がなくなり人工歯舌側と移行する舌側のラインが推測できる。  図11 通法に従い、鋳造、研磨を行う。外フィニッシュラインの立ち上がりに問題はない。
 図12 作業模型にフレームワークを固定し、シリコーンコアを用いてフレームワークに人工歯をトランスファーする。安心して舌側面の歯肉形成ができる。  図13 蝋義歯をレジンに置換し、金属床義歯を完成する。人工歯舌側から金属床に移行するラインは、移行的に仕上がっている。   図1参照

 

 

 

 


おわりに
 本法は、蝋義歯人工歯部のシリコーンコアを、ワックスパターン採得時に使用して、外フィニッシュラインの立ち上がりの形態を与えるものである。パターン採得時に適切な外フィニッシュラインを設定することは、後の技工作業でフレームワークを修正する必要がなくなり作業効率が良くなる。今回の方法であれば、誰でも外フィニッシュラインの形態が自然で移行的な金属床義歯を製作することができる。日々の技工の参考にして頂ければ幸いである。

参考文献 、*三山善也 メタルバッキングを有するフレームワークへの人工歯固定,Graffiti of Dental Technology vol:66


Presented byN.Harada (歯科技工研修科 原田 直彦)


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