Graffiti of Dental Technology

Vol.58 : 便利な自家製光重合スタンドの製作

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はじめに
 光重合器には、推奨される重合エリアが限られているものがある。推奨重合エリアを外れて光源より遠ざかると「光の減衰の法則」によって重合度が低下する。レジンの重合不足はメタルフレームからの剥離や表面の硬度不足による耐摩耗性の低下、光沢不足が懸念される。
そこで今回は、適切な重合を行うために、安価な材料で製作する便利な自家製光重合スタンドを紹介する。




重合エリア

 重合器によっては推奨される重合エリアが指定されている。

 特に指定のない光重合器でも「光の減衰の法則」を考慮して、より光源に近いところで重合を行いたい。

既製スタンドの問題点
既製スタンド 参考

 既製スタンドの問題点は高さと角度が変えられないことやピンとピンの間隔が広いことである。付属のピンも紛失しやすい。

 過去には角度が自由に変えられるクリップタイプ(デンタカラーXS kulzer)やハンドルを回して高さを変えられる光重合器(αライト モリタ)があり、これらの使い勝手を参考にしたい。

紙コップとダウエルピンで製作する自家製光重合スタンド
スタンド製作 自家製スタンド特徴

製作方法

1. 紙コップに石膏を注入し、硬化させた後、モデルトリマーで目的とする高さに調整する。

2.ダウエルピンの径を考慮して、3ミリ以上の間隔で穴をあける。

特徴

・ダウエルピンの配置を変えることでブリッジなどに対応することができる。

・ダウエルピンを曲げることで角度を微調整することができる。

・穴の配置や高さの異なるものを製作しておけば、より便利である。


ワニグチクリップとアルミ自在ワイヤーで製作する自在スタンド
自在スタンド製作法 自在スタンド特徴

製作方法

1.100円ショップで入手したアルミ自在ワイヤーを適当な長さに切断する。

2.電気部品のワニグチクリップ(52円)の片方の絶縁キャップを外し、アルミ自在ワイヤーを通す穴をあける。

3.アルミ自在ワイヤーを通し、プライヤーで圧着する。

特徴

・アルミ自在ワイヤーを曲げることで高さと角度を自由に調節できる。

・ワニグチクリップで様々なものを保持できるため、金属床のオペーク処理などに対応できる。

・前装面を光源に正対させることができる。

・なにより安価で簡単に製作できる。


資料 : 各社光重合器のランプの特徴


ランプの種類

ランプの特徴

ハロゲンランプはフィラメントに通電することにより発熱発光する。フィラメントが切れることで、白熱電球と同様に球切れをする。

キセノンランプメタルハライドランプはガスを封入したガラス管の中に電圧をかけ放電させることによって発光する、消費電力が低く、理論上球切れがない 。

LEDランプは発光ダイオードによる発光で小型、低消費電力、耐衝撃性、低発熱、長寿命、赤外線および紫外線を含まない、などの特徴がある。

 


各社光重合器のランプと特徴

αライトUn (モリタ)ハロゲンランプ 有効波長  400〜600nm

ブルーサンダー ヨシダ)キセノンランプ ハロゲンランプの2倍の光量、紫外線を含む広い波長域。
有効波長 380〜580nm

アクセルキュア 松風)メタルハライドランプ 高出力で照射時間を短縮できる。発熱が比較的少ない。
立ち上がりに時間がかかるため常時点灯。 有効波長 400〜500nm

G−ライト ジーシー)LEDランプ 使用する硬質レジンの硬化波長域と合わない場合がある。熱が伝わらない。
有効波長 青: 465〜475nm 紫: 400〜420nm


※ 硬質レジンは光重合開始材として カンファーキノンが含まれており、 473nm前後の波長の光で重合が開始する。

 

 


おわりに
 執筆するにあたって各機器の仕様を比較すると、同じように見える光重合器でもその特徴と使用方法には違いがある。 使用する機器を正しく理解し、安定した品質の補綴装置を製作するための一案として、自家製光重合スタンドを役立てていただければ幸いである。
 最後に余談であるが、ワニグチクリップの自在スタンドは写真撮影用のスタンドとしても重宝する。

参考文献
1. 技工用光照射器の違いが間接修復用コンポジットの耐摩耗性におよぼす影響
村上真穂子*, 荻野智久*, 小泉寛恭*, **, 根本美佳*, **, 浅野澄明*, 大島修一*, 佐田二三夫*, 田中秀享*, 八木庸行*, 吉成勝海*, 松村英雄*, **
*日本大学歯学部歯科補綴学教室III講座, **日本大学歯学部総合歯学研究所高度先端医療研究部門
日本補綴歯科学会雑誌, 50(3) : 504, 2006.

2.3種の光源の比較 宮崎能久 スリーエムヘルスケア株式会社技術部 日本歯科産業学会誌, 16(1) : 44, 2002.


Presented byT.Matsumoto(歯科技工研修科 松本 敏光)


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