Graffiti of Dental Technology


Vo.24:インプラント技工における作業模型の製作2
〜インプラントと天然歯の支台が混在した症例の対処法〜

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はじめに
 インプラントを支台とした補綴装置を製作する機会が飛躍的に増大した。それに伴いインプラントと天然歯の支台が混在するような症例も少なくない。このような症例では、天然歯の支台と隣在歯は分割復位式模型、インプラントは固着式模型の作業模型を製作する。今回はインプラント技工と一般技工を含む症例の作業模型の製作におけるポイントを紹介する。


1. ダウエルピン植立穿孔器を用いた作業模型の製作法

1.天然歯の支台のマージンとインプラントレベルの高さがほぼ等しい症例では、ダウエルピン植立穿孔器を用いた作業模型の製作法を選択することができる。天然歯の支台と隣在歯(黒矢印)は分割復位式に、インプラント部(赤矢印)は固着式にする。一次石膏の底部をモデルトリマーで調整後ダウエルピンを植立する予定である。

2.インプラントアナログとレプリカの維持部を調整する前後の比較。長さや形態を調整した場合は維持形態を再形成しておかねばならない。  
A Straumann(ITI) synOctaインプラントアナログ
B Straumann(ITI) ソリッドアバットメントアナログ(4mm)
C ブローネマルクシステムR Pインプラントレプリカ

3.ブローネマルクシステムRPインプラントレプリカの維持部を一次石膏の厚さに合わせて長さを約10mmにカットする。レプリカ周囲にシリコン印象材を注入しシリコンガムを調整する。

4.印象より一塊で撤去した模型はダウエルピン植立穿孔器を用いて天然歯の支台と隣在歯は分割復位式模型、インプラント部は固着式模型にする為に屈曲したダウエルピンを植立する。

5.分割を行い支台歯周囲の歯肉をシリコンガムに置き換えた。

 

2.ダウエルピンをフリーハンドで植立する作業模型の製作法
1)インプラントレプリカを無調整でそのまま用いる場合

1.インプラントレベルの位置が歯肉縁下5mmを越える深さにあり、印象用コーピングのガイドピンの先端が同じく10mmを越えている。

2.このような症例では、レプリカの維持部を短くカットしても一次石膏の厚さを越えてしまい、モデルトリマーで平面を形成することができない。そこでインプラントレプリカ維持部を調整せずに固着式模型に利用し、天然歯の支台と隣在歯が混在していればフリーハンドでダウエルピンを植立し分割復位式模型にする。  

3.インプラント部(赤矢印)は固着式、天然歯の支台と隣在歯(黒矢印)は分割復位式とする。 4.印象用コーピングとインプラントレプリカを連結固定し、レプリカ周囲にシリコンを注入してシリコンガムを製作する。
5.印象辺縁に印記した支台歯の位置を目安にダウエルピンをフリーハンドで互いに平行に植立する。石膏のチキソトロピー効果によってダウエルピンの植立はさして難しくない。 6.インプラントレプリカの維持部は一次石膏より突出し、固着式の維持部として利用できる。
7.二次石膏硬化後、模型の分割を行う。天然歯の支台及び隣在歯が分割復位式模型、インプラント部が固着式模型である。支台歯周囲の歯肉もシリコンガムに置き換えると良い。

 

2)インプラントアナログを調整して用いる場合

 1.イプラント体の植立方向が近心に傾斜しているためにインプラントアナログの維持部と模型分割予定線(点線)が重なりこのままでは分割できない。

2.分割の妨げとなる維持部をヒートレスホイール(東京歯科産業社)で削る。
調整前(左)と調整後(右)のsynOcta
インプラントアナログ。内部のネジ穴は点線まであるので注意する。

3.インプラントアナログを調整したことにより模型の分割スペースが確保された。

4.インプラントアナログが模型の分割を妨げることなく天然歯の支台を分割復位式模型にすることができた。


まとめ
 どのような症例においても高い精度と操作性を満たした作業模型を製作しなければならない。今回は、作業模型の製作に際し、作業工程を見通した計画性とその対処の実際を示した。「インプラント技工における作業模型」の基礎編はVol.5に、すでに紹介してあるので、今回と合わせて参考にして頂きたい。

文献
1. 手島秀之・若麻績茂伸・松原秀憲:各種ダウエルピンを用いた歯型可撤式模型の製作法.講座歯科技工アトラス4,33~64, 1983.
2. 細川隆司・加藤了嗣:歯科医師と歯科技工士のトータルコラボレーション.QDT別冊 インプラント上部構造の現在PART3. クインテッセンス出版, 東京, 134〜144, 2002.
3. 邑田歳幸:キャストパターンレジンで作るガム模型.デンタルマガジン 109,138〜140, 2003.
4.全国歯科技工士教育協議会編集:歯科技工士教本.歯冠修復技工学.歯冠修復編.医歯薬出版 40~46.

 

Presented by Y.Ide(歯科技工研修科 井出 康時)


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