Graffiti of Dental Technology


Vol 23:樹脂プレートを使用したリテ−ナ−型義歯の技工

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 リテーナー型義歯(咬合保持装置,Occlusion retainer)は本学歯科補綴学第一講座阿部實助教授が考案した義歯で、歯を抜かずに咬合を守ることを最大の目的とした新しい補綴装置です。今回は樹脂プレートを使用したリテ−ナ−型義歯の技工術式について紹介いたします。


 樹脂プレートを使用したリテ−ナ−型義歯は、圧接した樹脂プレート上に人工歯を常温重合レジンで排列したきわめてシンプルな義歯です。

 残存歯の下部鼓形空隙やポンティック基底面が頬舌的に交通した症例や動揺歯を有する症例では、シリコーンとアルジネート印象材を使用した分割印象を行います。

 咬合を挙上したバイトを介在させて、切歯指導釘のある咬合器に作業用模型を装着します。

 残存歯部の設計には歯頸部まで覆うタイプ,キャップクラスプタイプ,連続切縁レストタイプがあります。

 不必要なアンダーカット部は石膏でブロックアウトします。

 樹脂プレートを模型に圧接するための熱可塑性樹脂加圧成型器(ミニスターS・モリタ)を使用して、厚さ1.5〜2.0・のスプリント用の樹脂プレートを圧接成型します。 

 樹脂プレートは超音波カッター(ラボソニックカッター・ナカニシ)で簡単にトリミングできます。

 トリミングした樹脂プレートにレジンプライマーを塗布し、常温重合レジンを筆積みして人工歯排列,歯肉形成を行います。

 唇側面を覆うキャップクラスプタイプの樹脂プレートは約0.5・の厚さに形態修正します。 

 咬合調整後、樹脂プレートと常温重合レジンを一緒に形態修正して完成させます。

 口腔内に装着された樹脂プレートを使用したリテーナ−型義歯。

 咬合を保持すると同時に動揺歯の二次固定効果も兼ね備えています。


まとめ
 リテーナ−型義歯は従来のレジン床義歯と異なり支台装置,連結装置などを必要としません。そのうえ、フラスコ埋没などの操作がないため大幅に製作工程を短縮することができます。また印象採得時に簡易咬合採得を行うことで2回目の来院時に装着が可能です。診断用または治療用義歯として使用した後、金属を使用したリテーナ−型義歯へと移行することで、咬合を長期にわたって安定させる永続的な義歯として使用することが可能となります。
 リテ−ナ型義歯の製作については第113回補綴歯科学会(技工セッション)で発表しました。詳しくは文献を参照してください。

文献
 1) 第20回日本歯科医学会総会テーブルクリニック事後抄録.
 2) 阿部實.難症例への対応.デンタルダイヤモンド29(6):58-62,2004.
 3) 阿部實,青木孝幸,三山善也,河村昇.歯を抜かずに守るリテーナー型義歯.デンタルダイヤモンド30(4):117-126,2005.

 

Presented by N.Kawamura(歯科技工研修科 河村 昇)


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