Graffiti of Dental Technology


Vol.22:ファイバーポストを用いたレジン支台築造の製作術式

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はじめに
 欧米ではすでに普及しつつあるファイバーポストの発売を国内でも多くの臨床家が望んでいた。日本ではペントロン社(米国)のファイバーポストが薬事認可を受け2003年10月に国内販売が開始された。本学においてもレジン支台築造に関する実験的研究や臨床調査が進むにつれ、歯根破折を防止する上で効果が高いことや歯肉縁周辺の審美性も高いことなどファイバーポストの有用性が明らかになりつつある。本編では間接法によるファイバーポストを用いたレジン築造体の製作術式を要約して紹介する。


コア法による製作術式

コア法はまず築造体の概形をワックスアップした後、透明レジンやパテ状シリコーン印象材などで築造体のコアを製作する。次に同コア内にレジンペーストを注入してレジン築造体を製作する術式である。叢生の排列で補綴する症例では補綴装置に適した支台歯形態を付与することが難しい場合や、平行性が求められるブリッジの支台歯として製作する場合に応用すると効果が高い。

FibreKor® Post Systemのキット。根管形成ポストドリルとそれに対応する3種類のファイバーポストがセットされている。

ファイバーコアポスト。上より直径1.0mm,1,25mm,1.50mm。最近、1.125mm,1.375mm,1.75mmの3種類が追加発売され合計6種類のラインナップとなった。

寒天とアルジネートの連合印象を採得する。窩洞形成面に接着を阻害する油脂分を残留させないためにシリコン印象材は用いないほうが良い。

作業模型には光照射時の反射率を高めるため白色の超硬石膏を用いる。形成用ドリルと対応するファイバーポストを試適する。その後形成面を一層ワックスでリリーフし、再度試適してスペースを確認する。

ポスト孔先端まで挿入できない場合は先端部にテーパーを付与してレジンペーストをコーティングできるスペースを確保する。

ファイバーポスト表面の汚染はレジンペーストとの接着を阻害する原因となる。スチーム洗浄を行なうかアルコールで清拭する。

ファイバーポストを修正した場合、表面を専用のシランカップリング剤(シラン)で処理後、ボンディグ剤(ボンドワン)を薄く塗布する必要がある。

使用するレジンは流動性が良好で付形性に富み、硬化様式がデュアルキュア型であるユニフィル®コア(ジーシー)またはクリアフィルDCコア オートミックス(クラレ)を選択している。

練和したレジンペーストをニードルタイプのCRシリンジチップを用いて注入すれば気泡の混入を防止できる。

前もって採得しておいた築造体概形のシリコーンコアを装着し、ファイバーポストの位置関係を決定した後、約10秒間光照射する。

次にシリコーンコア内にペーストを注入する。ユニフィル®コアは操作時間にゆとりがあるため圧力釜中で硬化を待つこともできる。

咬合面方向から約20秒の光照射後、模型から撤去しポスト部にも光照射して確実に重合する。

重合の完了した築造体表面の未重合層をカーボランダムポイントで一層削除した後、コア部の形態を修正する。

形態修正後、弱圧でアルミナサンドブラスト処理とスチーム洗浄を行ない接着面の油脂分を取り除いておくことが重要である。

完成したファイバーポスト併用レジン築造体。

接着後のレジン築造体。専用ボンディング剤(セルフエッチングボンド)を塗布した後、同種レジンペーストを用いて接着した。

 

築盛法による製作術式 

築盛法は、レジンペーストでファイバーポストを仮固定した後、同じレジンペーストの流動性を利用してインスツルメント等で支台形態を付与してゆく術式である。最終補綴物の形態を回復したシリコーンコアを参考にファイバーポストの位置を決定することが基本となる。ファイバーポストの植立方向を誤ると形態修正時に思わぬ部位にファイバーポストが位置する場合があるため、咬合接触関係や最終補綴物の形態を見極める必要がある。

ワックスでブロックアウト、リリーフ後、ファイバーポストを試適する。

シリコーンコアを参考に前歯部は切縁方向、臼歯部は咬合面中央にファイバーポストの植立位置を決定し光照射する。

シリンジのレジンペーストを手早くファイバーポストに巻き付けるように築盛する。

ユニフィル®コアの適度な流動性を利用しながら築盛と光照射を2〜3回繰り返して形態を付与する。表層は約2秒で硬化する。

コア部の概形を整える際にコーティング処理されたインスツルメント用いるとべたつきが少なく操作性が良い。コア部とポスト部それぞれに約20秒間光照射して重合を完了する。

形態修正を完了したファイバーポスト併用レジン築造体。レジン築造体は切削が容易なので過剰に切削しないよう形態修正を慎重に行なうべきである。



まとめ
 ファイバーポスト併用レジン支台築造は、鋳造支台築造と比較して特に難しい技術を要することなく、容易に製作することができる。しかし、鋳造支台築造と同様に支台築造の良否が補綴装置の予後に大きな影響を及ぼす場合があることを念頭において製作すべきである。ファイバーポスト併用レジン築造体は接着によって歯質と一体化することで初めてその目的が達せられるものであり、術者は「接着界面における確実な接着」を重視し製作や接着操作をより慎重に行なうべきである。

本編は2004年4月に発刊されたQDT Vol.29(4)誌上にて本学歯科補綴学第二講座 坪田有史先生、福島俊士先生のご指導、ご協力により報告した「ファイバーポストを用いたレジン支台築造の製作術式」より抜粋して要約したものです。

参考文献
1. 坪田有史,大祢貴俊,橋本 興,福島俊士,邑田歳幸: ファイバーポストの有用性.デンタルダイヤモンド,28(395),88〜 91,2003.
2.福島俊士:ファイバーポストの臨床応用.DE,145,13〜16,2003.
3.坪田有史,牧野泰千,西村 康,橋本 興:支台築造用接着性コンポジットレジンシステム「ユニフィルコア」について.日本歯科評論、62(5),99〜100,2002
4.邑田歳幸,坪田有史,福島俊士:ファイバーポストを用いたレジン支台築造の製作術式.QDT,29(4),21〜29,2004.
5.坪田有史、福島俊士:支台築造ーファイバーポスト.QDT,30(5),42〜45,2005.

 

Presented by T.Murata(歯科技工研修科 邑田 歳幸)


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