Graffiti of Dental Technology


Vol.7:CT値の異なる材料を組み合わせて製作する症例に対応した診断用ステント

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はじめに
 インプラント治療において補綴装置に対する審美的,機能的要求に応えるために、X線CTによる術前診査の重要性は益々高まっている。そのため、補綴装置の形態や対合関係などの情報が骨や軟組織と共にX線CT画像に併載できる診断用ステントは術前診査の精度を高める上で重要なポイントとなる。
今回は、診断用ステントとそれによって得られるX線CT画像について報告する。


 

材料の組合せ
・診断用ステントは一般的な歯科材料を用いて製作している。
・濃度差のある明瞭な画像を得るためには生体組織と材料のCT値を比較し,その組合せに配慮する必要がある.

 

石膏模型上の診断用ステントとそのX線CT画像

*パラフィンWAXは、対合歯に金属補綴物が存在して障害陰影を生ずる恐れがある場合、咬合位を上げるために使用する。その厚さは、金属補綴物のオーバーバイトが、マイナスになる位置にできる量。

 

術式の概要と症例
レジン・シリコーンコア併用ステント
症例の概要:下顎左側567の欠損に対しインプラントによる固定性補綴装置にて補綴する。
術式:透明レジンで製作し、シリコーンコアを併用する診断用ステント。フィクスチャーの埋入位置と方向は、ドリリングした孔に充填したシリコーンで描出する。
 障害陰影の対策として障害陰影が生ずる歯冠部を避けた位置に、埋入方向と平行な指標を付与する(平行指標)。
対応 :シリコーンコアの隣接により補綴装置の外形を描出すると共に平行指標を設ける。
サージカルステントへの移行が容易にする。

 

造影レジンステント1

症例の概要: インプラント支台のバーアタッチメント用いたオーバーデンチャーで補綴する。
術式:筋圧面形態を付与した義歯をデュプリケートして製作する(コートバリウム3%含有レジンを使用)。
フィクスチャーの埋入位置と方向はドリリングした孔の空気で描出する。
対応: ステント単体で義歯床の外形を描出する。

 

造影レジンステント2(バリウム入り人工歯を排列したステント)
症例の概要:下顎左側76右側67の欠損に対しインプラントによる固定性補綴装置にて補綴する。
術式:コートバリウム7%を含有した自家製人工歯を排列し、補綴装置の外形を描出する診断用ステント。フィクスチャーの埋入位置と方向はドリリングした孔の空気で描出する。
対応:補綴装置の外形を顎堤粘膜付近まで、より精確に描出する。対合歯を取り込む。
*人工歯に圧接した#26のシートワックスを圧接し、CT値の近似した人工歯とシリコーンの咬合面コアとの境界を明確にする。

 

まとめ
 
CT値の異なるシリコーン印象材やバリウム含有レジンなどを組合せて製作した診断用ステントを用いると,歯冠の形態,義歯床の形態,対合歯,フィクスチャーの埋入位置と方向など,インプラントの診断に必要な情報を骨や軟組織と共にCT画像の中で濃度差のある画像として併載することができる.
研修科では、症例に対応した診断用ステントの製作術式もほぼ確立し、歯科医の指示や要望に応えられるようになった。

 


 *診断用ステントに関しては、歯科技工研修科:松本敏光、井出康時、市川正幸、水野行博, 歯科補綴学・:土田富士夫、細井紀雄, 歯科放射線学:今中正浩、小林 馨の共同研究で2001年と2002年の日本歯科技工学会で発表した。

Presented by M.Ichikawa(歯科技工研修科 市川 正幸)


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