Graffiti of Dental Technology


Vol 6:咬合縁付近の形態を考える

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  天然歯形態を再現したいという夢を持ち解剖学の文献で歯のバランスを覚え、歯型彫刻を反復練習し、ようやく天然歯形態に近づいてきたと思っている。 しかし、天然歯形態により近づけたいという思いが湧いてきた。

今回のホームページでは上顎第一大臼歯の

咬合縁付近の形態の特徴と機能的な上部鼓形空隙の形態について調べてみました。

 


 形態が上手に再現できないということは、その形態の認識ができていないと思い、天然歯模型を断面にし観察した。すると、頬側面/舌側面に3つの面を観察することができ、天然歯は曲面の中にも面があることが分かった。本文中では1面と2面を分ける部分を仮にAラインと決め形態の比較の参考とした。

 咬合面観は咬合縁とAラインの関係が大きなウエイトをしめていると感じ、咬合縁とAラインの関係をみるためにこの二つのラインを削って観察すると二つのラインは平行に幅は急激に変化することなくなだらかに変化している。(天然歯模型6本をこのように観察したところ、5本にこのような傾向が見られた。)Aラインは隣接接触部で最大豊隆部と同じ位置になることがわかった。

 またいくつかの天然歯模型を観察してみると、咬合面から隣接面に向かう溝は Aライン付近で浅くなり、咬合面から見ると辺縁隆線の形はつながって見える。

 しかし、この彫刻模型のようにAラインを深い溝が越えている場合、咬合縁から見ると辺縁隆線はつながっては見えない。天然歯にもたまにこのような溝の流れが観察することができるが、どちらの形態のほうがよいかは一概に言えないが、私は「天然歯で多く観察できるAラインを越える溝を深く入れない形態がのぞましいように思われる。」

 

隣接接触部と辺縁隆線の形態に関しては、「この部分の形態は咀嚼、咬合時に起こる食片圧入の原因を考えるうえで重要な形態になる。」「接触点の上方、辺縁隆線の外側により形づくられる部分で垂直的な食片圧入ともっとも密接に関係する。」「明確な辺縁隆線の付与により、食片圧入が合理的に防げる形。図A」と記述されている。*1

 また図A「接触点が低く、空隙が上方に広く開いている場合は、この部分に食片が楔状に圧入されやすくもっとも不良である。」図B「接触点の著しい咬耗によって上部鼓形空隙が失われた場合も、一般に食片の圧入停滞を起こしやすい。」と述べられている。*1

 加齢により食後に爪楊枝を使うようになるのは咬耗により上部鼓形空隙がなくなったためとも言われている。

 また加賀谷によれば、「上部鼓形空隙の斜面の長さは2ミリで、幅は1、5ミリ程度であった」と報告している。*2

 

 まとめ 今回紹介した咬合縁付近の形態一つとっても、機能と密接な関係があり、さまざま形態が観察できた。そして歯を構成する一つ一つのこまかい部分の形態を理解し再現して、パズルのように組み合わせていくことが、天然歯形態の再現につながるのではないかと思った。

 


参考文献

 *1、草刈玄:カントゥア正しい歯冠修復のために 医師薬出版株式会社 ,1985.

 *2、加賀谷忠樹:辺縁隆線と溝の走向 歯科技工,19(8),828〜841,1991.

Presented by M.Nomura(歯科技工研修科 野村 昌広)


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