授業紹介〈3〉 選択科目・地理・歴史系列

選択科目(地理・歴史系列)   
日本史T
(「日本」社会と「歴史学」 )
 「日本」の「歴史」と「歴史学」について、それがどのような特徴を持ち、どのような過程を経て形成され、現在の我々の思考にどのような影響を与えているのかを理解し、他者にも冷静に説明することが出来るようになる。

日本史U
(日本近世対外関係史1)
 「近世」の大半を占める江戸時代は、現在「鎖国」と呼ばれている、極端に外国との交流を制限した政策が取られてはいましたが、決して世界から孤立していたわけではありません。人・物・情報が様々な形で日本にもたらされ、また日本から運ばれていたのです。この授業では、そのような江戸時代における人・物・情報の移動を、世界とのつながりから確認していきます。
日本文化史T
(宗教から見る日本社会の特質)
 文化とは人類がみずからの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体であり、とくに思想、信仰、芸術、道徳、法律、慣習などの精神的活動、およびその所産を指すとされる。この講義では宗教(信仰)に注目し、日本社会の特質を歴史的に考える。
 講義では主に戦国時代(15・16世紀)とその前後の時代を取り上げて、僧侶や神職などの宗教者たちの活動、それが地域社会にどのような影響を与え、民衆にどのように受容されたのか、といった社会史的な視点から宗教を考える。また戦国大名、統一政権の宗教政策から近世社会を展望してみたい。

日本文化史U
(中世人の習俗・心性から日本文化を考える)
 文化とは人類がみずからの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体であり、とくに思想、信仰、芸術、道徳、法律、慣習などの精神的活動、およびその所産を指すとされる。この講義では人々の心性や習俗、法に注目し、日本社会の特質を歴史的に考える。
 日本の中世という時代に生きた人びとの考え方や思想、そこから生み出される習俗や法とは現代人からすると「異質」なものとして感じられる部分も少なくない。
 そうした日本中世の「異質」な部分に注目し、日本中世社会の様々な習俗や慣習、法令を取り上げることで、中世社会の特質とその背景を考える手がかりとしたい。またそこから現代社会を相対化して捉えることを試みる。

古文書学T
(近世文書を読む)

 近世文書をくずし字中心に読み、内容を理解できるようにする。
古文書学U
(日本の古代・中世古文書の様式を学ぶ)
 日本の古代〜中世の古文書の内容を正しく理解するためには、古文書の様式(書式)に関する知識が不可欠である。この講義では基本的な古代・中世の古文書の様式とその展開を理解し、古文書名を判別できるようになることを目的とする。
 講義は、解説レジュメと史料レジュメを配布し、文書様式の特徴などを解説したうえで、実際の史料から様式などを確認していく。

日本仏教史T
(仏教の伝来から平安仏教の展開へ)
 本講義では、仏教伝来から平安仏教までを概説する。最初に日本仏教の特徴を確認するために、仏教の基礎的知識を時代を追って概観する。まず、インドでの成立、中国での展開を確認する。それらを踏まえた上で、仏教伝来期の飛鳥時代、国家仏教として大きな展開を示す奈良時代、さらに仏教が日本で広く受け入れられ変容していった平安時代末までの様相を考察する。特にそれらの時代のポイントとなる聖徳太子・南都六宗・最澄・空海等を中心に解説する。

日本仏教史U
(鎌倉新仏教から明治の神仏分離令(廃仏毀釈)まで)
 中世・近世・近代といった時代の変化とともに仏教がどのように展開してきたか、それぞれの時代と仏教との関係について考察する。具体的には、鎌倉新仏教成立以後の各祖師・教団の思想展開を確認し、日本の歴史・文化への影響を考察する。さらに南北朝時代以降の京都五山と室末幕府の関係、戦国大名と一向宗・法華宗の関係、江戸幕府の宗教政策などを通して仏教と政治の関係も考察する。
 そして、明治維新後の仏教界の混乱と新たな展開を学ぶ。

歴史地理学
(江戸・東京と周辺地域の地理学)
 本講義では、具体的な地域としてわれわれにもなじみ深い関東の中心地「江戸・東京」をとりあげ、周辺を含めた地域の自然環境、都市の成立・発展から現在に至るまでの過程にみられる様々な機能や人々の暮らし、諸問題等について解説しながら、「歴史地理学」の視点による地域の理解を促したい。

歴史地誌学
(絵画資料から地域の歴史を読む)
 地域の文化と歴史を理解すること。今回の講義では様々な絵画資料から地誌的情報を引き出し、それぞれの地域に刻まれた歴史や文化を理解する。あわせて、歴史資料としての絵画のもつ可能性を理解することが出来るようになることを目標とする。
 日本史概論
(国家史、朝幕関係史から日本の歴史を通史的に学ぶ )
 古代から近代国家成立期までを対象に日本の歴史について基礎的な知識を学ぶ。「歴史学」は過去の「出来事」の暗記ではない。日本社会の成り立ちを学び、今の日本社会と過去との関係を理解し、歴史を学ぶことの意味を考えていく。これにより日本社会の特質や問題を理解し、さらにそれらの特質や問題がなぜ生じたのかについて学習する。

 世界史概論
(世界史観構築にむけて)
 中学、高等学校生徒に世界史を教授する教員が、利用する教科書全体を見通したうえで、各単元を全体像の中にどのように位置づけるのかを心がけられるようにしたい。

 授業は、参考書にあげた書籍について、教員が指定した箇所をもとに進める。批判的スタンスを忘れずに各自の新しい世界史の把握することをめざす。教科書的な発展段階史観をくつがえす視点を学び、新たな歴史観の視座の形成を目的とする。

 地誌学概論
(アジアとヨーロッパにおける事例から地域性を理解する )
 本講義は、具体的な地域としてアジアとヨーロッパの各国をとりあげ、自然環境、民族と宗教、産業、社会などについて概観したのち、それらと人々の暮らし・文化との関係性について解説することで、地域を総合的にみる地誌学の視点について理解を促すものとしたい。

 宗教学概論
(宗教と社会の関わりを考える)
 宗教は、人類が生活の中で、自分達の力で為し得ないことの実現のため、また自分達の理解を超えた不可思議な現象を理解するために生み出したものである。その成立には生活の舞台となる土地の環境が大きく影響し、成立後はさまざまな社会関係や歴史的経緯による変化をしている。本講義では、このことを踏まえながら、基礎的に必要な宗教の知識を得る。