必修科目(実習) | ||
実習ⅠA (近隣文化財の巡検) |
教室の講義だけでは充分に実感できない文化財について、保存・公開されている現地を訪れて実物を見学する。訪ねる文化財は、遺跡、史跡、古社寺、古建築、美術工芸品や民具など多岐にわたる。訪れた現地では、引率教員の他に現地学芸員の解説によって、それぞれの文化財に対する理解を深めるとともに、それらが置かれている環境や意義についても学ぶ。 前期の土曜・日曜を利用した集中授業の形をとる。事前指導・中間指導・事後指導は学内で行う。 第1回:オリエンテーション、本山境内と宝蔵館(嫡々庵)、、『「責任ある研究活動について」研究不正行為の防止』について説明と確認。 第2~4回:1泊2日巡検(山梨県立考古博物館、武田氏館跡ほか) 第5回:大塚・歳勝土遺跡、横浜市歴史博物館 第6回:川崎市立日本民家園 第7・8回:鎌倉巡検(円覚寺~建長寺~鎌倉国宝館~伝頼朝・義時の墓) 第9回:中間指導及び小テスト 第10回:称名寺・金沢文庫 第11回:鶴見大学文化財学会参加 第12回:多摩川台古墳群 第13回:大森貝塚遺跡庭園、品川区立品川歴史館 第14回:東京国立博物館 第15回:反省会、追加課題と最終テスト *上記の巡検先と順序は暫定的なものであり、変更の可能性もある。また、受講生は解散時刻が午後5時以降になることを認識しておくこと。 |
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実習ⅠB (考古資料の整理法) |
遺跡発掘を行なった際に調査担当者(学芸員)が必ず作製しなければならない『発掘調査報告書』を刊行できるよう実習を行なう。 土器(模造品)と石器(実物)の実測図作成、拓本、トレース、写真撮影を行ない、それらを印刷物とするための版下作製、割り付け、校正を行なう。具体的内容は、授業スケジュールに記載している。 実習を担当する教員と実習助手は多年にわたる国内および国外での発掘調査と発掘調査報告書作製に携わってきた。その経験をもとに発掘調査報告書作製の手順と注意点を伝える。 |
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実習ⅡA (古文書の補修と取扱い) |
古文書の取り扱い方法や補修方法について学ぶ。 まず、実物史料を用いて古文書の用紙・形・装丁について学び、その取り扱い方・整理法についてもあわせて学ぶ。 次に、古文書の補修方法の基礎を学ぶ。補修作業は、まず、古文書の虫損・腐損・破損・摩損などを正確に調査・観察することから始まり、文書の解体・繕い・裏打・復原(製本)の工程をもって終わる。実習では、擬似文書を用いて、実際に一連の補修作業を学ぶ。損傷文書の修理作業はどうしても経験を要する仕事なので、初めてふれる者にとっては当然大変な困難が伴う。しかし、それを経験することが、古文書を貴重な文化財として理解していく上に大変重要であることをあわせて学んでもらいたい。 |
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実習ⅡB (野外考古学 -遺跡発掘調査の技術) |
埋蔵文化財の調査法のうち、発掘調査の技術を実体験して習得する。調査目的、安全性、効率性などを常に考えならが土を掘り、記録をとることを重視する。また、調査員として要求される作業協力、現場管理についても実体験してもらう。 実習場は荒立校地(学生寮)にある。 1979年~1982年、1984年~1988年の期間、調査補助員及び調査員として千葉県西部、山梨県西部、東京都西部の遺跡発掘調査団で縄文時代及び旧石器時代の遺跡の発掘調査に携わった経験に基づき発掘調査の指導を行う。 |
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実習ⅢA (文化財科学) |
様々な材料からできている文化財について、複数の分析機器を用いて材料の特性や研究手法を理解する。また、文化財の劣化要因とその影響を踏まえ、文化財を安全に展示する方法や保存、管理、文化財を後世に伝える手法とその意味について考える。 |
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実習ⅢB (美術工芸品の取り扱い) |
学内実習では、美術工芸品の取り扱い、保存環境、保存方法について実物資料を用いて具体的に学ぶ。実習教材には、甲冑、刀剣、掛軸、屏風、巻子、茶碗、桐箱、御物袋、風呂敷を適宜用いる。 【学内実習】 全員が座学と美術工芸品の取扱い実習を行う。実習作業中に各々注意すべき点を個別に指摘するので、確認と復習を怠りなく行うこと。実物資料を扱うので、取扱いには細心の注意を払うこと。事故を防ぐために、実習姿勢不良者には、厳しく対応する。原則、全員が対面による実習とする。 【学外実習】 漫然と見学するだけでなく、レポート作成のための資料収集に努めること。また文化財を学ぶものとして、良識ある見学態度と服装を求める。 |
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実習Ⅳ (遠隔地の文化財巡検) |
以下の3コースからいずれかを選択。 ●国外コース 今年度は、8月2日(土)~8月8日(金)の6泊7日、中華民国(台湾)の九份、国立故宮博物院・南院、ゼーランディア城址等を中心に巡検を予定し、次のようなテーマを設定する。 1.台湾の風土と歴史を踏まえた上で、現代に遺る文化財について学ぶ。 2.文化財をどのように保護し、現代社会で活用しているかについて調べ、学ぶ。 なお、巡検終了後には、各自が巡検報告書を作成、提出する。 ●国内コース 今年度は、8月2日(土)~8月8日(金)の6泊7日、三重・和歌山の伊勢神宮・熊野三山・高野山金剛峯寺を中心に巡検を予定し、次のようなテーマを設定する。 1.日本古来の歴史的建造物をはじめとする文化財について学ぶ 2.文化財をどのように保護し、現代社会で活用しているかについて調べ、学ぶ。 なお、巡検終了後には、各自が巡検報告書を作成、提出する。 ●自主コース ・本コースは、自ら計画を立てて巡検を実施し、巡検後に報告書を作成し、提出するコースである。 ・良い巡検を実施するためには、相当な下調べに基づくテーマ設定と綿密かつ周到なる計画の立案が不可欠である。 ・巡検計画は、事前・事後学習を除いて7日間30時限(45時間)以上のものを作成する。巡検期間は、複数回に及んでもよいが、全体の時間が不足する計画については、計画書の追加修正と再提出を求める。 ・巡検地の地図を欠くものや人物をテーマとしながら人物年表を欠くものなど基本情報を欠く計画書についても、追加修正と再提出を求める。 ・巡検報告書はA4判10枚以上のものを作成する。 |
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